新しい世界に触れる時ってなんだか妙に緊張すると思わんか?書道塾に通いだしたあの日、クラシックバレエを習い始めたあの時、エアロビックスウェアに足を通したあの瞬間、不安と恐怖と苛立ちと少しばかりの好奇心が同居した不思議な感覚。
40過ぎるとなかなか今の世界の外に出なくなるんだけど、いや疲れるし(笑)、しかし勇気を出して新たな扉を叩かなくてはならない時がある。それがまさに今なのだ。
来年は、期せずして、はからずも、不意打ちを喰らったように、フェンシング系の役柄が続くのだ。1作品でも珍しいのに、2本もだよ、それも共に結構強くなくてはならない、ときたもんだ。
そして遂に叩いたよ。文字通りフェンシング教室のドアを....。
初めての場所、初めての相手。どんな先生なのだろう?毎日、剣で人を刺すような人だ、腕周りが80cmくらいある勇猛なゴリラ系だったらどうしよう?胸毛はもちろん生えているはず。
入室。床だけ見たらフローリング的でジャズダンス教室と同じだが、やはり空気が違う。男臭い。血が飛び散り肉片が舞う。そういった空気だ。この後、俺は生きてこの部屋から出られるのか?殺すか殺されるか?入室してから先生と会話をするまでの1分間で、これから起こるやもしれん最悪の事態まで想像し、俺は身構えていた。
「あ、石井さん、ようこそいらっしゃいました。初めまして。」
「え?フレンドリー?待て、安心させておいて一気に攻め落とす気だな。フッ、その手は食わんぞ」
「フェンシングっていうと敷居が高いイメージなのか緊張される方もいらっしゃいますが、子供でもやっていますから大丈夫ですよ。ゆっくり基礎からいきましょう」
「な...優しいぞ、それにカッコいいフェイス。さぞやモテるだろう。こんな穏やかな顔で血を好むとは人は見かけによらないな」
<それからたっぷり1時間半くらいレッスン>
お〜〜、とってもタメになった。フェンシング、こりゃあ面白いかも。何といっても説明がわかりやすい。懇切丁寧。それに胸毛もはえてない!俺は誤解していた。この先生には付いて行ける、そう確信した。
初めての出逢いだからと言って悪い事ばかり想像するものじゃない。それを学んだ一日だった。



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